東京上京をハッキリ決め出した、2000年の夏
世の中では、K-1がブームになっていました。
K-1とは、ありとあらゆる種類の
立ち技の格闘家達が、
同じリングで闘い、頂点を競い合うという、
当時大人気になった、格闘技イベントです。
その格闘技の中で、僕にとって、
一番異彩を放っていた競技団体が、
直接打撃制の空手団体でした。
出雲には、当時そういった道場は、
一切ありませんでしたから。
そこに入って稽古できること自体に、
めちゃめちゃ憧れがあったんです。
折角、東京に行くなら、
道場に入門して稽古をしてみたいと、
真剣に思うようになりました。
そして上京するまでの数ヶ月間、
基礎体力をつけておこうと決めました。
大学入学が決定した12月以降、
父の工場で8時から5時まで働き、
その後5キロほど走り、補強をする日々を、
週6で行っていました。
そして2001年の4月に、晴れて入門することになります。
初月の稽古の日から、ガツンと響きました。
指導者である黒帯の先輩が、
早口すぎて何を話しているか、全く聞き取れないんです。
それをまず、一回で聞き取るところからスタートです。
稽古も、ものすごいスピードで淡々と進んでいきます。
毎回毎回、凄い疲労感です
とにかく1年目は、稽古についていくだけでも、本当必死でした。
同時期に入った、格闘技オタクみたいな、
運動できない子達は、
1年ももたずに、そそくさと辞めていきました。
なんとか稽古にも慣れてきた、1年生の秋頃に、
黒帯の先輩が出場する、全日本大会に応援に向かいました。
そこはまさに、頂点を決める、
天下一武道会が行われていました。
黒帯の選手同士がど突きあうと、
会場に地鳴りのような、凄い音が響いていました。
度肝を抜かれる試合が、淡々と続いていくのです。
僕が所属していた道場の、
黒帯の先輩の試合も拝見しました。
先輩が、試合の最期の場面で、腕を高く上げて、
そこからストンと腕を落として、構えを整えたんですね。
それをみて、めちゃめちゃ鳥肌が立ったんです。
最大の出力が、発揮出来るように、
限りなくゼロに近い状態で、脱力して構えている。
その状態から、とんでもないエネルギーの、
突きが放たれるイメージが、出来たんです。
この完全脱力した構えを出来るまで、
何万時間稽古したんだろうと、
泣きそうになるほど感動しました!
それから、コツコツ稽古を続けていて、
私が大学3年生の秋に、
黒帯の選手クラスの方々が集まる稽古に、
自分も参加させて頂いたんです。
そのレベルの高さに、もう唖然としました。
体力パワースピード、
全てが兼ね備わっているような方々ばかりいらっしゃいました。
僕には、その稽古の準備運動も、けっこう辛かったんですが笑
先輩方は汗一つ書かずにやっていたりと。
本当、もの凄いところにやってきたなと思いましたね。
そして僕にとって最大の関門が、
ここで待ち受けることになります。
それは稽古後の、ご飯の時間です笑
先輩方と稽古の後に、
ご飯屋さんで大量に「食べるという稽古」をするんです。
自分は子供の頃から小食で、体力がなくて、痩せっぽちです。
そういったものを、諸々克服したいと思っていました。
そして、食べる稽古にも挑戦したんですが、
ハッキリ言って、全然駄目でした。
稽古後、ラーメン屋で、思いっきり食べて、
店内で思いっきりゲロ吐いたりと、
関係者の皆様には大分迷惑を掛けてしまいました。
そして、肉体的にも、本当に限界を感じていた以上に、
組織の中で、精神的に、
じわじわ支配されるような構図が、
とっても気持ちが悪いと、思い始めていました。
その他進路のことなど、諸々色んな事が重なって、
もういよいよ耐えられなくなって、
先輩に、急に離れたいといった、ニュアンスのことをお伝えしました。
先輩には、言った瞬間、めちゃめちゃ怒られて、
僕はその場で耐えきれず、ワッと泣いてしまいました。
僕には、ここが限界でした。
ある種の、マインドコントロールされるような環境に、
本当に耐えることが出来ない自分がいたんです。
僕が、
無所属を貫いているような人生を
ずっと送っているのも、
このときの体験が凄く大きいです。
少なからず、
大企業には絶対に行かないと決めた、大きな理由のひとつです。
こういったことをされたくもないし、
逆にそういうことを、こちらからしたくもない。
今はこの組織含め、会社などに居た頃の自分が、
だいぶ昔話になり、しっかり自分の中で消化しきって、
はっきりと言語化もできるようになりました。
そして今では、自分でも、
小さなシゴトをチームをつくって運営してみたいと、
心の底から思えるようになってきました。
本当に、中途半端になってしまった経験でしたけれど、
関わって頂いた方々には、
3年間本当にお世話になりました。
この場を借りて、感謝を申し上げます!
ご一読頂き有り難う御座いました!
次回は、
温泉旅館で住み込みバイトした噺 訳アリニンゲン達の壮絶な現場
です!
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